鯉 (こい)

繁殖(はんしょく)産卵期は水温18~26℃のころで、17℃以下と28℃以上では産卵しない。そのため西日本での産卵期は4~6月ごろであるが、北海道では7、8月ごろであり、中国地方南部では12月下旬に始まるという。湖岸や水のよどんだ川岸に集まり、日の出ごろから正午ごろにかけて、雌1尾と雄2、3尾の小群がアシ、マコモ、キンギョモなどの生育地の水面付近で水しぶきをあげながら産卵する。体重10キログラムの雌は1尾で150万粒ほどの卵を産む。卵は直径約1.5ミリメートルの球形で粘着性があり、水草に付着する。水温20℃の場合4、5日で孵化(ふか)する。
特徴的(とくちょうてき) 硬骨魚綱コイ目コイ科に属する淡水魚。重要な食用および観賞魚で、現在ではほとんど世界中で養殖されている。ノゴイは体高が低く円筒形に近いが、ヤマトゴイなどの飼育品種は一般に体高が高く、やや側扁(そくへん)している。背びれ条数は18~22本ぐらい。側線は完全で、側線鱗(そくせんりん)数は32~38枚程度である。味覚と嗅覚(きゅうかく)に敏感な2対の口ひげをもち、3列の咽頭歯は臼(うす)状を呈する。体色の変異はきわめて大きく、ノゴイでも淡黄褐色から黒みの強い銀灰色までさまざまである。  湖の沿岸部や池沼、大河の下流域に多い。中流域では大きく深い淵(ふち)に集中する。海水の多少混入する河口域にも進出しているが、山間の渓流域にはみられない。底泥上の藻類、水草やその破片、泥ないし砂泥中の底生動物などを、泥とともにいったん口に入れたのちに吐き出して、摂食する。どちらかといえば肉食性で、とくに貝類を好み、臼歯(きゅうし)状の咽頭歯で貝殻を砕いて肉を食し、貝殻を吐き出す。水底や水草を掘り返した跡や吐き散らされた貝殻片は、漁師や釣り人がコイの生息を知る手掛りとしている。